特別受益とは

2014年10月16日

共同相続人の中に、被相続人から特別の利益を受けていた者がいる場合に、これを単純に法定相続分どおりに分けると、不公平が生じます。これを是正しようとするのが、特別受益の制度です。

 つまり、その相続人が遺産分割にあたって受けるべき財産額の前渡しを受けていたものとして扱われるのがたてまえです。

 是正の方法は、その贈与の価額を相続財産に加算します。これを 特別受益の持戻し といい、その加算した額を基礎として各人の具体的相続分を計算します。

 

 なお、持ち戻しの対象となるのは、被相続人から相続人に対する生前贈与か遺贈ですから、原則として相続人でない者に対する生前贈与や遺贈は対象外ということになります。ただ、代襲相続があった場合、相続人の配偶者への生前贈与があった場合などについて問題があります。


特別受益者となるのは 

被相続人から、

?遺贈、?婚姻・養子縁組のための贈与、?生計の資本としての贈与を受けた者

 遺贈された財産はその目的を問わず、すべて特別受益として持ち戻しの対象になります。しかし、「婚姻・養子縁組のためもしくは生計の資本として」贈与された財産が特別受益になるのかどうかについては、被相続人の資産・収入、社会的地位、その当時の社会的通念を考慮して個別に判断すべきものとされています。平たくいえば、遺産の前渡しといえるかどうかが一つの判断基準となるようです。

(例)

・婚姻の際持参金をもらった。
 ※結納金、挙式費用は特別受益にあたらないとされています。
・独立して事業を始めるときに開業資金を出してもらった。
・家を建ててもらったり、住宅取得資金を出してもらった。
・私立の医科大学への多額の入学金を出してもらった。

※ ただ単に、生活費の援助を受けていただけであるというような場合には、生計の資本としての贈与には該当せず、民法第877条(扶養義務者)に規定する扶養義務を履行したものと解されますので、このような生活費相当額の贈与については、特別受益とは認められません。

 

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