退職金に関わる税務問題 vol.1

2014年9月29日

日本では多くの企業が退職金制度を導入しています。退職金には支給形態などにより税務上の問題が起こることがあります。そこで、退職金支給に関する注意点について解説します。

 

◆退職金にかかる所得税

退職金にかかる所得税は、下記の算式により計算します。

(その年の退職金の収入金額?退職所得控除額())×1/2×税率 

 ※勤続20年以下…勤続年数×40万円(80万円に満たない場合は80万円)

  勤続20年超…(勤続年数?20年)×70万円+800万円

  (1年に満たない端数があるときは、1年に切上げ)

 

退職金支給の効果

 退職金は税務上損金となり、利益と相殺されるため、法人税の負担が少なくなります。

 また、役員退職金はその金額が過大でない限り、損金の額に算入することが認められています。そのため、役員退職金の支給は次の効果を生むことができます。 

・自社株の評価額を下げ、事業承継対策になる。

・退職金を受け取る役員は、上記の算式のように退職所得控除を差し引いた後、2分の1にするため、所得税の税負担が比較的少なくなる。

(※)勤続5年以下の役員等については、上記のいわゆる「2分の1課税」は適用されません。

 

◆役員退職金が過大とみなされないためには

役員退職金は、税務上は一般的に、次の算式で算定します。

  役員退職金支給額=最終月額報酬×役員在籍年数×功績倍率 

 功績倍率とは、役職別の功績係数で、社長であれば3倍、専務であれば2倍など事前に決めておきます。この功績倍率を高く設定し、役員報酬が過大になると、意図的な利益操作とみなされ、税務署に否認されるケースがあります。

 では、功績倍率はどうやって決めるのですか?という疑問もありますが、税務署が裁判で主張した適正額の計算方法は、いわゆる「平均功績倍率法」です。上記算式で用いる功績倍率を、複数の同業種類似法人の功績倍率の単純平均値を用いるということです。これは、複数の裁判例で共通しており、ほぼ通説となっています。

 役員退職金は、金額も大きくなることが多いので、否認されると多大な税負担が生じますので、必ず顧問税理士に金額が過大かどうかなどについて事前に相談しましょう。

 

 

 

 

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