退職金に関わる税務問題 vol.2

2014年10月23日

◆役員退職金の損金算入時期とは

 役員退職金の損金算入時期は、原則として「株主総会の決議等により退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度」です。ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度に損金経理をした場合、その額についてはその事業年度の損金に算入することも認められています。

 

役員退職金の分割支給は所得税の取扱いに注意

 役員退職金は、株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する年の退職所得とされます。一方、役員退職年金は、その支給を受けた年の雑所得となります。退職所得は退職所得控除があり、その控除後2分の1にした額に課税されるため、雑所得よりも税額が少なくなる場合が多いです。ですので、役員退職金を分割支給する場合には、それが退職年金と認定されないかが問題となります。その判断基準は支給側の制度により形式的に決定されます。

 具体的には、役員退職金の支給を決議した株主総会議事録に、分割支給についての決議が記載されているかどうかという点です。分割して支給する場合には、役員退職金であるということが明確にされていないと、役員退職年金の支給と認定されることがあります。

 分割支給される役員退職金の額を損金とするためには、次の点に留意することが重要です。

・株主総会の決議等により退職金の支給であることが明確にされていること

・その支給額が確定していること

・確定した事業年度において退職金の全額を未払計上して損金経理すること。

退職金規定の整備が必要

  従業員の退職金・役員の退職金に関して、算定方法、支払時期、対象等について明記しておきます。退職金の分割払いを行いたい場合はその旨も規定しておきます。規定を設けることにより福利厚生としても活用でき、退職金の金額をあらかじめ予定しておくことにも役立ちます。また、上記のように役員退職年金と認定されないための根拠としても有効です。規定作成の場合は、税理士、社会保険労務士などの専門家の意見を聞き作成するようにしましょう。

 

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